なぜ

在廊している際に「理由」の話になることがあります。
説明しながらも、誰よりも自分自身が、なぜこの絵を描くに至ったのか? ことばよりも速く生まれた線を見ながら何度も何度も考える機会となります。
どんなものが作りたいか、ということと、どんな人で在りたいか、ということは、結構重なるところがあることに気づいてから、今回はどんな人で在りたいと思っている自分が見えてくるだろう。そんな風にいつも面白がる恒例の行事です。

タロットカ一ドや夢占いのように、定着した絵を見て何かを物語るとしたら。随分自分の絵はやさしくなってきました。
時代や年齢も変わり、なるべく自分や他人に負荷を掛けない情報とは何だろうと、ことばの表面を磨いていく日々も、絵に何らかの影響を与えているのかもしれません。
何かを貫く力はなくとも、愛らしいぴかぴかの珠のような絵に、心を安らかにする絵に、自分らしいまま、ゆっくり成っていけたらいいなと、今は思います。

10月から色んな環境が変わるので思い切って静岡まで駆け込んだディック・ブル一ナ展の絵は、色や形を選択していくきびしさと、許し受け入れるやさしさを併せ持っていて、何時になったらこうなれるかと途方に暮れつつ、自分らしくゆっくりやっていこうと諦めました。

絵を描くのは、面白いです。
dessinの展示は10月6日まで。
ぜひいらしてください。